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TRIAL8 プラチナのデルモ作戦

A PART 

「ねーん、藍華さーん。本当に行かないのー?」
大きな眼鏡の奥から不満そうな、悲しそうな目が覗き込む。
「ごめんなさいね、りおん。今日はどうしても駄目なのよ。
次は必ず行くから……ね?」
「そおう?……あーあ、月に一回のお食事会だっていうのに寂しいなあ……
次は絶対だからね。」
「うん……約束よ。」
しぶしぶ部屋を出て行くりおんににこやかに手を振って見送った藍華は、
パソコンのモニターを振り向く。その表情は固く引き締まり、
ひとかけらの笑みもなかった。

<貴女と最後の決戦を行いたし。今夜8時、新日の出桟橋まで来られたし。
我らは総力をもって迎え撃つ覚悟故、万端の準備をされたし。
−デルモゲニティ司令−>

短いメールを一瞥し、消去する。
「最後の決戦、か……」
ふうっと軽くため息をついて立ち上がり、クローゼットを開く。
「出番よ……久しぶりに。」
華麗なデザインの黄金色のビスチェがきらりと輝いた。

新日の出桟橋には小さいながらも豪華な仕様のクルーザーと
ガイド姿の女性が待っていた。
「ようこそいらっしゃいました、ミス藍華。
本日は当船をご利用いただき誠にありがとうございます。」
にっこり笑って頭を下げる。緑色の丸い大きなイヤリングが煌く。
「……あなた…デルモ…よね?」
「はーい、さようでございまーす。本日のご案内は私、ピンク・リーダー、
航海士はブルー・リーダーが務めさせていただきまーす。
どうぞよろしく……ああ、ちょ、ちょっと待って下さい。」
銃を抜こうとする藍華を慌てて制する。
「私達の役目はあなたをご案内するだけです。ここで戦うつもりはありません。
戦いの場も相手も別にございますわ。」
「本当…なの?船ごと自爆なんて冗談じゃないわよ。」
「ご安心下さーい。デルモゲニティは仲間を大切にしますから。
現地に到着するまで、あなたの安全は絶対に保障しまーす。」
「結構な自信……ということね。いいわ、じゃあ行ってちょうだい。」
「かしこまりましたー。どうぞご乗船下さーい。」

「……続いて前方をご覧下さいませ。黒い島影が見えてまいりました。」
ピンク・リーダーの流暢な案内のまま、
クルーザーの大きなガラス越しに上下左右を眺めていた藍華が前方を注視する。
「……あ、あれは!?」
「犬吠島でございまーす。別名を灯台島ともいいまして、
かつてはデルモゲニティの基地がございましたが、
先の戦いでミス藍華にあえなく破れ、爆破・放棄されまして、
現在はただの廃墟の島となっておりまーす。
そして、今宵の決戦の舞台でもございまーす。」
マイクを持ち、右手で島影を示し、にっこりと微笑むガイドの姿からは、
何の遺恨も感じられなかった。航海士は前を向いたまま、一言もしゃべらない。
「長らくのご乗船お疲れ様でございました。
これより当船は犬吠島の桟橋に接岸いたしまーす。
多少揺れますので、お足元にはご注意くださいませ。」
みるみる黒い島影は接近し、クルーザーが減速し、回頭を始める。

笑顔のガイドに見送られて桟橋に降り立つと、
黒デルモの制服を纏った紫の髪の女が待っていた。
「よく来た、ミス藍華。私はブラック・リーダー。
あんたとは、地下駐車場以来の付き合いというわけ。」
不適な笑顔に思わず身構える藍華。
「フフッ…早まるな。私が命じられているのは、
あんたを決戦場に案内することだけだ。」
くるりと身軽に身体を翻し、島の奥に歩いていく。
「ついて来い…大丈夫、決戦場までは何も起きない。」
藍華は油断無く周囲に気を配りながら、ブラック・リーダーに従って歩いていく。
「行ってらっしゃいませー。」
笑顔で手を振り、見送るピンク・リーダー。
「くっ!」
その横に並んだ航海士役のブルー・リーダーは、
去り行く藍華の後姿を睨みつけていたが、我慢しきれずに拳銃を取り出し、
銃口を向ける。銃身をそっと握り、狙いをそらすピンク・リーダー。
顔を横に振ってみせる。
「……いけません。司令の命令を忘れましたか?」
「し、しかしッ!」
「もうしばらくの辛抱です。彼女達がきっと仇を討ってくれます。
私達の完全勝利を汚してはいけませんわ。」
ピンク・リーダーが空を振り仰ぐ。
中天には満月が煌々と輝き、青白い光を降り注いでいる。

「さあ、その扉の向こうが島の頂上部の広場……そこが決戦場だ。
私はここまでだ。あんたと戦えないのは残念だけど…用意はいいか?」
ブラック・リーダーが振り向き、藍華に念を押す。
藍華は右手に特殊銃を、左手に電撃スティックを握り締める。
「……いいわ。案内ご苦労様。帰りも送っていただけると助かるけど。」
藍華を見つめるブラック・リーダーの目に一瞬憎悪の炎が揺らめくが、
ふっと目を逸らし、自嘲の笑みを浮かべる。
「……あんたが無事に戻って来られたらね。
KKコーポレーションまで丁重に送ってあげるわ。もっとも……」
そんなことは絶対にないけれど、と言う間もなく、
藍華は重い鉄の扉を開き、駆け抜けて行く。

以前、ゴールデン・デルモ四人組と戦った広場がそこにはあった。
そして四つの人影も。
油断無く周囲を見渡し、他に人の気配がないことを確認すると、
藍華は中央にゆっくりと歩いていった。四人は得物も持たず空手で立っている。
「久しぶりね、ミス藍華。」
一番小柄なリエが藍華に呼びかける。
「ええ、そうね……。これだけ?あなたたち4人だけなの?」
赤い髪のビアンカが不敵に笑う。
「そうだ、ミス藍華。4対1だが……よもや卑怯とは言うまいな?」
藍華も笑みを浮かべて応える。
「ええ……言わないわよ。」
特殊銃と電撃スティックを静かに地面に置く。
「!……どういうことだ、ミス藍華?」
灰白色の長い髪を一本に編んだトニアが生真面目そうな眉をひそめ、
不審の声を上げる。
「総力って言うから、黒やら青やらのデルモ全員が襲い掛かってくると
思ってたんだけど……あなたたちだけなら最初から全力で行くわ。」
身体にフィットした赤いタイトミニのスーツ。
胸元から見える金色のビスチェの胸飾りの中央部に、突如が赤い瞳が生じ、輝く。
その周囲から白い触手が伸びていく。
触手は素早く器用に藍華の服を脱がし、髪留めを外すと、
まるで腕で抱え込むように胸元と下腹部を覆っていく。
「…あッ…ああッ…!!」
官能的な声を上げ、背を弓なりに反らした藍華の金髪が藍色に染まる。
同時に抜けるように白い肌は、褐色に染め上げられていく。
「出たわね……オルタネート・メタル!」
茶色の長い髪を揺らし、婀娜っぽい垂れ目を細めてサニアが呟く。
「お・ま・た・せ……卑怯とは、言わないわよ……ねえ?」
余裕の微笑みでゴールデン・デルモたちを見渡す藍華。
「ふ、ふふふっ……あっははははははっ…!」
ビアンカの哄笑がこだまする。
「それで勝ったつもりか?ミス藍華。前と同じ状況と思ってたら大間違いよ。
伝えてたはずよ、我々の総力を挙げた決戦だって!」
4人が突如金色の制服を脱ぎ捨てる。プラチナ色のブラジャーだけの姿。
いつも必ず着用しているはずの白いパンティがない。
「?……!?」
突然のデルモ達の行動に一瞬戸惑った藍華の表情が、驚愕に変わる。
4人のデルモ達のブラの中央に青い目が生まれる。
ブラが溶けるように全身を覆い始め、
一瞬にして全身がプラチナゴールドに染め上げられる。

「ま、まさか……?」
「行くぞっ!」
急速に接近してきたサニアとトニアに白い触手を伸ばす藍華。
だが、稲妻のような速度の触手は、突如何者かに行く手を遮られる。
「!……こ、これはっ!」
サニナとトニアから二本ずつ同様の触手が伸び、
藍華の四本の触手を全て絡め取っている。
「ふふっ……どう、ミス藍華?デルモゲニティの切り札、その一よ。」
サニアが艶っぽく微笑む。
「オルタメはお前だけだと思うなよ、ミス藍華。」
トニアが挑戦的に叫ぶ。
二人は両側から藍華の腕を押さえる。いつもなら容易に振りほどき、
投げ飛ばせるはずのオルタメート・メタルのパワーが、
同等のパワーで完全に押さえ込まれる。

「ふふっ……ミス藍華、前にネーナ様のオルタメと戦ったでしょ?
我がデルモゲニティは既にオルタメのデータを取得済みだ。
ハーゲン様は……あの方らしい好奇心で、
あんたのオルタメをプロトタイプとして、
より強力なテスト・タイプのオルタメを開発したのだ。」
ビアンカの台詞をリエが引き取る。
「結果的にネーナ…様はオルタメのパワーを限界以上に引き出そうとして、
体が負荷に耐えられなくなったわ。だから、私達は逆の発想をしたの。
すなわち、より安全なオルタメを開発するということよ。」
得意げにつんと顔をそらし、小生意気に鼻を高々と上げながら、リエが続ける。
「あなたの身体のデータを取って、オルタメのデータと照合した結果、
あなたの身体は、オルタメと最適な組み合わせになるよう
セットされていたことが判明したの……凄いわね、生まれながらの実験体なんて。
マッドな両親だこと。」
リエの皮肉っぽい笑顔。だが身動きを封じられた藍華は言葉を返す余裕もない。
「で、漸く開発したのがこれ。触手を半分に減らしたかわりに
安全性を向上させたプロダクション・モデルAの試作品よ。
オルタメの本来の目的である身体機能と防御力の向上については、
あなたのプロトタイプと遜色ないわ。
もう身をもって味わっているでしょうけど。」
「……それでも、モデルAは選ばれた極少数のエリートしか着用困難ね。
デルモゲニティでも使いこなせるのは数人程度……。
それで、誰もが安全に着用できるオルタメということで開発したのが、
私とビアンカのプロダクション・モデルBよ。」
ビアンカが漸く口を挟む。
「そういうことだ。モデルBは触手をオミットして、
その分安全性を一層向上させている。
そして身体機能と防御力という本来の機能はモデルAと同等なのだ!」
突如弾丸のように走りよったビアンカが、
高速の拳を容赦なく藍華の鳩尾に叩き込む。
「…あっ…ぐっ…!」
変身時には感じたことも無い衝撃が藍華を襲った。一瞬仰け反る藍華。
だがサニアとトニアにがっちりと支えられ、固定される。
「ふふふっ……どう?少しは応えるでしょう。
殴り続けて嬲り殺してやりたいところだけど……
生きたまま捕らえろとの命令だからね。」
後方に跳躍するビアンカ。一瞬にしてリエの隣に戻る。

「ミス藍華。切り札そのニも見せてやろう!」
ビアンカの右手にいつの間にか握られた巨大な銃。
ステンレス・スチールの銃身が月の光に輝く。
それはリエの右手にも握られている。
小柄なリエが持つと、それはまるで大砲であった。
「M500よ。世界最強のハンドガン。
この銃のために開発された50口径マグナム弾は、
あらゆる生物の息の根を止めるでしょうね。」
ビアンカの台詞をまたしても横取りするリエ。
「…オルタメを着用したミス藍華には効かないでしょうけど。
でもね、この銃には大きな秘密があるのよ。」
「あなたは知らないでしょうけど、ハーゲン様と我々デルモゲニティ技術陣は、
ラグエネルギーの秘密を次々と暴いていたわ。
ラグビーム・ライフルの威力はご存知よね?
それからホーリーファクス号の主砲はラグ砲弾を使用していたの。
一撃で艦隊を吹き飛ばす威力のやつをね。」
拳銃の化け物を軽がると人差し指でくるくると回しながら、リエが続ける。
「それで、対ミス藍華用兵器を開発したのよ。
オルタメに効果絶大なラグビームをカートリッジ化して小型化する……
ね、いい考えでしょ?」
「…もっとも、小型化しても、ようやく使える銃はこれだけな訳だが……」
台詞を取られたビアンカが茶々を入れる。
「何よ、もうっ!時間がなかったんだからしょうがないでしょ……。
いずれ小型自動拳銃でも発射できるようにしてみせるわよ……
だいたい無茶なのよね、あんな短時間でさ……」
ぶつぶつ文句を言い始めたリエを無視して、ビアンカが続ける。
「……こほん。まあ、と言うわけで、
この銃にはラグ銃弾…ラグナム弾が装填されているという訳だ。
記録によると、ミス藍華のオルタメはこれまでにラグビームを三発受けて、
かなりの抵抗力をつけている可能性があるので……」
ビアンカが左手にも銃を持つ。リエも両手拳銃となり、
四本の巨大な銃口が藍華に向けられる。
「……ラグナム弾四弾同時斉射による飽和攻撃を実施する!」
「そういうこと。ちゃんと聞いている、アイカ?」
「……?」
蒼白な顔でデルモ達の台詞を聞いていた藍華が眉をひそめるのを見て
リエが続ける。
「あなたじゃないわ、ミス藍華。
あなたの腐れオルタメの出来損ないのA.I.に言って聞かせているのよ。
いい、AIKa?これから三秒毎に斉射を開始するから、
本気でミス藍華を守るつもりでいるんなら、ちゃんと身の振りを考えなさいよね。
変に突っ張ると、ミス藍華の体が吹き飛ぶんだからね。」
「……ま、私はそれでも構わないのが……そろそろ行くわよ、リエ!」
「オーケー、ビアンカ。タイミングはまかせるわ。」
「了解……第一斉射、ファイア!!」
すさまじい咆哮を上げ、四丁のラグナム銃が火を噴く。
トニアとサニアに抑えられ、身動きのできない藍華に四発の銃弾が突き刺さる。
藍華の身体が大きく仰け反る。
「!あああっ…!!……ラグビーム効果……抵抗値を大幅に超過……
トランスフォーム状態の継続に困難が……くううっ…」
悲鳴を上げる藍華の口から、冷静な呟きが漏れる。
「……第二斉射、ファイア!」
再び轟音が響き、藍華の身体が再び仰け反る。
「きゃあああっ!……第三斉射に耐える可能性……38%……
藍華の身体保護を優先……トランスフォーム急速解除……
休眠モードに入る……」
藍華の身体が急速に変貌していく。髪が金色に、肌が元の白さを取り戻して行く。
「!…斉射中止っ……!」
ビアンカが銃口を下ろす。
藍華のオルタネート・メタルは黒い玉となって、地面に落ちる。
続いて意識を失った藍華が、サリナとトニアの桎梏から解放されて
ゆっくりと崩れ落ちていく。
ゴールデン・デルモの四人が全裸で横たわる藍華を取り囲む。
「第三斉射くらいまでは持つと思ったんだけどなあ……」
「リエの脅しが効いたんでしょう。生意気にミス藍華を守ろうとしたんだわ。」
「主人に忠実な犬ってとこかしら。」
勝利を確信し、笑みを浮かべて口々に軽口を叩くデルモ達の中、
ビアンカだけが憤怒と憎悪に燃えた表情で、
うつぶせになった藍華の後頭部に銃口を強く押し付ける。
「藍華……我が友の仇……今こそ……」
引き金を引こうとする瞬間、トニアの指がビアンカの指をそっと抑える。
「ビアンカ……気持ちは判るが……」
はっと自分を取り戻すビアンカ。
「あ…す、すまない、トニア。一瞬我を忘れていた……」
「いや、こちらこそ済まない。黙って見逃すのが道かも知れないが……」
「よくこらえてくれたわね、ビアンカ。」
サニアが色っぽい微笑みを浮かべてビアンカの顔を覗き込む。
「司令もきっとお喜びでしょう。」
「そうよ、早くミス藍華を司令の元へ!」
リエが通信機を取り出す。
上空に、垂直離着陸可変ローター機が近づく。
ローターの位置を変えながら、着陸態勢に入る。
「やりましたね、皆さん!」
鉄の扉を開けてピンク・リーダーが駆け寄る。
ブルー・リーダー、ブラック・リーダーが続く。
「遂に……遂に我らデルモゲニティが完全勝利を……!」
「信じていましたが……実際にこの目でみると、感激もひとしおで……」
すっかり冷静さを取り戻したビアンカが高らかに宣言する。
「諸君、我々は遂にミス藍華を捕獲した。諸君の協力に感謝する。
だが忘れてはならない。これは我らの作戦の第一段階でしかないことを。
これからミス藍華を司令の下へ運ぶ。くれぐれも段取りに遺漏なきように。
勝って兜の緒を締めよ!」
「はいっ!ミス・ビアンカ!」
歓喜の一同が藍華をオスプレイに運び込む。
ティルトローター機のエンジンが再び雄雄しい唸り声を上げ、空に舞い上がる。
眼下に小さくなっていく犬吠島。
ビアンカは、休眠状態になって黒い玉と化した藍華のオルタネート・メタルを
握り締めながら、なぜか物憂げな表情で遠ざかっていく島影を見つめていた。

B PART

「本当によくやってくれましたね、皆さん。」
SHQが一同に会する部屋。一人立ち上がり、
上品な微笑みを浮かべた司令が一行をねぎらう。
「ミス藍華を抹殺したい……そういう気持ちの方もいたでしょうけど……
よく我慢してくれました。」
ビアンカは気持ちを見透かされたような気がして頬を赤らめる。
咳払いをして報告する。
「司令。これが藍華……ミス藍華のオルタネート・メタルです。
現在は休眠状態です。」
「かつてホーリーファクス号の中でもこの状態でしたね、ニナ?」
最年少のホワイト・デルモのニナ・エスコが化粧気のない童顔で応える。
「はい……が、ミス藍華とネーナ様の戦闘中、
ミス藍華の危機を感知して自動的に再起動し、ミス藍華を守りました。
結果として、ネーナ様とハーゲン様は……」
「わかりました。つまり、これはなお脅威の存在ということですね。
それで、対策はありますか、ニナ?」
「はい。オルタネート・メタルがラグビームに弱いという特性から、
再起動を妨害する方法を考案してあります。」
「それはどのような方法なのか?」
色黒のホワイト・デルモがややきつい口調で尋ねる。
「はい。休眠状態のオルタネート・メタルを空中で固定して、上下左右前後から
弱い拡散ラグビームを照射します。これは、起動中のオルタネート・メタルに
ダメージを与えるほどの威力ではありませんが、
休眠中のオルタネート・メタルの再起動を完璧に妨げることが可能です。」
「手ぬるいのではないか?完全破壊してしまうべきでは?」
なお疑問を呈する色黒のホワイトを、副官が制する。
「そうでしょうか?プロダクション・モデルの開発に成功したとはいえ、
プロトタイプのオルタネート・メタルにはなお様々な秘密が隠されているでは
ありませんか。例えば高度なA.I.がそうです。
なお我々が研究分析するに値する逸品だと思いますが。」
「……よくわかりました。ニナ、あなたの案を採用します。
早速その措置を取って下さい。」
「わかりました!ピンク・リーダー、お願いします。」
元気に立ち上がったニナ・エスコがビアンカから黒い玉を受け取り、
ピンク・リーダーと共に部屋を出て行く。
司令がSHQのメンバーを見渡す。副官と視線が合い、そっと微笑む。
「……さて、皆さん、ご対面といきましょうか。」

藍華はそっと目を開けた。薄暗い部屋。
緩やかにリクライニングした柔らかな一人がけのソファに沈み込んだ身体。
どこにも痛みは無い。赤いスーツをきっちりと身に着け、
髪も綺麗に纏め上げてある。化粧も完璧だ。ただ、ビスチェだけがない。
代わりに白く上品なデザインのブラウスに細いタイを着けさせられていた。
音も無く扉が開き、白い制服の一団が入って来る。明るくなる室内。
「ご機嫌いかが、ミス藍華?」
先頭の人物が声をかける。見覚えのある姿。デルモゲニティの司令を名乗った女。
「……身繕いまでしていただいてどうもありがとう、と言うべきかしらね。
デルモの司令さん?」
「お気遣いなく。全力で戦った敗者への当然の礼儀ですわ。」
たおやかに微笑む司令。敗者、の言葉に藍華のこめかみが引き攣る。
「……余裕ね。私をどうするつもり?
筋違いの復讐の生贄にでもするのかしら?」
精一杯強がりの表情を浮かべる藍華。
せめて司令の顔に怒りや憎しみの感情を浮かべてやりたい。
「そういえば、北の基地では私に叩き伏されて、
無様にパンツ丸出しで気を失っていたわね。どう?傷の方は癒えたのかしら?」
「おのれえっ!司令を辱めることは許さんっ!」
泣き黒子のあるひときわグラマーなホワイト・デルモが
藍華につかみかかろうとするのを、そっと手で制する司令。
副官が憐憫の表情を浮かべて藍華を一瞥する。
「ミス藍華はもはや籠の小鳥。せいぜい囀らせてあげましょう。」
「あ、あーら、あなたも確か私にのされてたわね。もう首の具合はいいの?
ちゃんと動くかしら?」
デルモ達をきっとにらみつける藍華の瞳。
強がりの口とは裏腹で頬を一筋の汗が伝う。
「それだけ口が滑らかに動くようなら、
すっかりお元気と言うことですね、ミス藍華。実に喜ばしいことですわ。」
静かに司令が声を掛ける。藍華の挑発にも全く動じない。
「そうかしら?オルタメがないからって舐めないほうがいいわよ。」
「そうですね。私達は変身しないあなたに簡単に倒されましたからね。
用心は必要です。特にホワイト・デルモは肉弾戦には特化していませんし。」
小首をかしげて呟くように言う司令。緑色の美しい髪が艶やかにこぼれる。
「はい……ミス藍華は、私達を倒せば再び血路を開けるとお考えなのでしょう。」
副官が青い髪を揺らして応える。
「ではミス藍華……これをご覧になって……」
司令と副官を除く四人のホワイト・デルモ達が一斉に服を脱ぎ去る。
ゴールデン・デルモ達が着けていたのと同様のデザインのブラジャーが、
藍華の目に映る。
「ま、まさか……」
一瞬にして変身する四人。藍華の前に立ち塞がる。
「ビアンカ達が言いませんでしたか?プロダクション・モデルだって。
いずれデルモ全員に行き渡ることになりますわ。」
哀れむような表情で司令が微笑む。
「では皆さん。ミス藍華を丁重に『処置室』へお連れして下さい。」

藍華はベッドに横たえられていた。
手足を細い皮ひもで括られ、大の字にされている。
四人のオルタネート・メタル姿のホワイト達によって、
ほとんど抵抗らしい抵抗もできずないままに、屈辱的な姿勢を取らされていた。
「な、何をするつもりなの……!」
「あなたのデータはリエが採集してくれました。
あなたはディスクを破壊して安心したようだったけど、残念でしたね……
既に本部に転送済みだったのですよ。
あれはただのバックアップ用ディスクに過ぎなかったの。」
司令が藍華の頬に指を這わせてながら、優しく言い聞かせるように囁く。
「そして先ほど、私達の面会前にも最終的な検査を済ませてあります。
あなたの同意を得られないまま行ってしまったことは深くお詫びしますわ、ミス藍華。」
「け、検査……って、ま、またっ!?」
みるみる頬を赤く染めていく藍華。司令の指を振り払うように激しく首を振る。
「ご覧になりたい?ミス藍華。意識を失ったあなたの表情はとても素敵でしたわよ。」
「映像、スタートしますか?」
いつの間にか戻ってきて司令の横に控えていたニナ・エスコが問いかける。
「ニナ。ミス藍華のオルタメの処置は終わったのですか?」
「はい。万全です。」
にっこり笑うニナを振り返っていた司令が再び藍華に微笑む。
「ニナにはあなたのオルタメの処置を任せたのです。
大丈夫。きちんと保管してありますから。
ただ……ちょっとここへは駆けつけられないでしょうね。」
瞳に嗜虐の光が一瞬閃く。
「では、せっかくだから、ミス藍華に見てもらいましょうか。
映像、スタートさせて。」
藍華の頭上、天井が一面大きなスクリーンに変わる。
部屋中の壁がモニター・スクリーンになり、
そこにいくつもの全裸の藍華が映される。
「い、いやあっ……!」
画面上の藍華は、白衣姿のデルモ達によって意識の無い身体を
無抵抗に開かれ、隅々まで撮影されている。
<……心電図、脳波、筋伝図取得。続いて触診と内診に移ります……>
「いやっ!も、もうやめてっ!」
必死に懇願する藍華。
だが司令は憐憫の微笑みを浮かべながらゆっくりと首を振る。
「これは既にあなたの身に起きたことなのですよ、ミス藍華。
あなたには知る権利があります。」
幼子をなだめるかのように、優しく藍華の頭をなでる。
「け、権利なんかっ、いらないっ!止めなさいっ!止めてえっ!」
悲鳴のような藍華の叫びもむなしく、映像は回り続ける。
<……それでは、次に性器の内診に入ります……>
感情のこもらない声で記録音声を告げる白衣。
突然マスクを外し、素顔を曝す。満面の笑顔。
<はーい、ミス藍華。ちゃんと見てるー?これからあなたの大切なところ、
ばーっちり、しーっかり、徹底的に調べてあげるからねー。えへっ>
そして再びマスクを着け、恥辱の検査に入る。
「いやっ!いやあっ!」
必死に首を振り、目を閉じる藍華。だが音声は容赦なく耳に侵入していく。
<……小陰唇、鮮紅色…この年齢でこの色とは珍しい…。
バルトリン腺の作動具合を見てみます……>
極薄のゴム手袋をつけたリエの細い指がゆっくりと藍華の秘裂をなぞる。
徐々にその動きを早くしていく。くちゅっ、くちゅっと淫らな音が部屋中に響く。
藍華が悲鳴を上げる。
<……バルトリン腺液の湧出確認。感度はかなり高い模様。
続いて小陰唇を開きます……クスコの用意を……>

「お、お願いっ!もうっ、もうやめてえっ!!」
藍華が叫ぶ。恥もプライドも投げ捨て、幼女のように泣きじゃくる。
司令が手を上げて合図する。
藍華の秘苑に恐るべき医療器具が挿入される寸前、映像が一時停止する。
「ごめんなさいね、ミス藍華。あなたを泣かせるつもりではなかったのですよ。」
司令はいたわるように藍華を覗き込み、
レース模様の上品な絹のハンカチで涙を拭ってやる。
「……じゃあ、ニナ。ミス藍華はご傷心のようですから、結論だけ言って頂戴。」
「はい。ミス藍華の身体はすこぶる健康。生理周期も予測値と完全に一致。
我々の実験には最適な状態です。以上。」
「ありがとう……と言うわけですわ、ミス藍華。
それではさっそく実験に移ることにしましょうね。」
「じ、実験…って…い、一体何を…?」
まだ止まらない涙。しかし聞いたばかりの衝撃の単語に、藍華の心臓が高鳴る。
「私達デルモゲニティはハーゲン様に仕えるハーゲン様のための組織。
あなたがかつておっしゃったように、ハーゲン様がいらっしゃらなければ、
我々の存在意義などありません。」
静かに目を閉じて回想する司令。
「ですが、賢明にして偉大なるハーゲン様は、
将来起こり得るあらゆる状況を想定してその対処法を考えておられました。
御自らが命を落とした場合すら想定して、ね。
つまり、現在の状況は、全くの想定内ということです。」
司令が藍華を見下ろし、嫣然と微笑む。
「こうした状況におけるハーゲン様のご指示はこうです。
『冷凍保存した我が精液を持って後嗣を製作、ラグを駆使して急速成長させ、
現在の我と同等以上の我を甦らせよ』……
私達はこの指示に基づき、様々な手段で資金を獲得し、
新たなラグを発見し、万端の用意を整えてきました。」
司令の隣に来た副官が、言葉を引き取る。
藍華は、二人の指が絡まりあっているのを認めた。
「当初、ハーゲン様のクローンを作成することが計画されましたが、
『我と同等以上の我』との発言を尊重し、完全なクローンではなく、
ラグによるコントロール下において、ハーゲン様より優れた遺伝情報であれば
母体から積極的に遺伝子を受け継ぐ方式に変更されました。
当初、母体としては我らの司令が想定されていたのですが……」
再び司令が言葉を紡ぐ。
「この先は、私が直接、行動で説明しましょう……始めます。」

照明が消え、間接照明だけが仄かに照らす薄暗い部屋。
ホワイト・デルモ達が壁際に下がり、闇に溶ける。
一人残った司令が、ゆっくりと制服を落とす。
微かな光に照らされたまばゆいほどに美しい裸身。
司令はプラチナ色のパンティだけを着けている。
「これもオルタネート・メタルなのです。が、他とは少し違います。
お見せしましょう。」
パンティの中央、小さなリボンに紫の瞳が生じる。変身が始まる。
「あ……ああっ……!」
驚愕に藍華の瞳が大きく見開かれる。
司令の全身を覆っていくオルタネート・メタル。これにも触手はない。
しかし……司令の股間には隆々と屹立する巨根がそびえ立っていた。
「これは特殊タイプのオルタメです。今、この男根の中には、
冷凍保存していたハーゲン様の精液がたっぷりと詰まっているのです。」
ゆっくりと司令が藍華に近づいていく。藍華の全身が小刻みに震える。
「そ、そんな……こんなオルタメが……!」
司令がそっと藍華に触れる。
静かに赤いスーツをはだけ、ブラウスのボタンを外していく。
「い、嫌っ!やめてえっ!」
必死にもがいて振り払おうとするが、四肢を拘束されていてはどうにもならない。
司令のしなやかな手が藍華の上品なブラジャーを押し上げ、
ふくよかな乳房を露わにする。
藍華のそれは、横たわったままでも形良く盛り上がり、
頂上には淡いピンク色の乳嘴を品良く乗せている。
やがて、司令の指が藍華の乳房をゆっくりと揉みしだき始める。
「……ああっ……い、やああっ……やめてっ……!」
「報告のとおり、感度は抜群のようですね、ミス藍華。
まあ、もう乳嘴がとがってきましたよ。」
「う、嘘よっ……あ、ああっ……はあっ……だ、駄目っ……!」
両の乳房を両手でリズミカルに揉み込まれ、藍華が哀切の声を上げる。
「うふふっ……とても色っぽい声ね。さあ、もっと聞かせて。」
司令の指先が藍華の乳嘴に直接触れる。
瞬間、全身に電流が走り、藍華の背が仰け反る。
「ああっ…嫌っ…ああんっ…だ、駄目えっ…!」
硬くしこった藍華の乳嘴を、司令の両手の指がこりこりと弄ぶ。
藍華は息が弾んでいくのを止めることができない。
「はっ…い、いやっ…はあっ…はっ、ああっ…も、もう…もう許してっ…!」
「うふふっ……乳房への責めだけでこんなに喘いでしまうとは……
少々はしたないですよ、ミス藍華。」
「そうです、ハーゲン様の母君になられる方なのですから、
もっと慎みと嗜みがありませんと。」
いつのまにか近づいていた副官が、藍華の耳元に囁き、熱い吐息を吹きかける。
快感に耐えようとぎゅっと硬く目を閉じていた藍華の顔が、びくりと震える。
副官の暖かく柔らかな舌先が、藍華の耳にしなやかに、ゆっくりと侵入していく。
もう一方の耳には、色黒のホワイト・デルモが取り付き、
耳たぶを唇に含んでいる。
「だ、だめっ…み、耳は…はああっ……や、やめてえっ…!」
藍華の喘ぎが激しくなる。
司令は、ゆっくりと名残惜しそうに藍華の乳房から手を放すと、
赤いミニのタイトスカートに手を這わせていく。
やがて、右手がゆっくりとスカートの中に侵入していく。
「うふふっ…ミス藍華。ここが今どうなっているか、
詳しく検査させていただくわわよ。」
「だ、駄目っ…そ、それだけは…あああっ…ゆ、許してえっ…!」
悲鳴を上げ、必死に振り払おうと身を揺する藍華。
ニナ・エスコと栗色のソバージュのホワイト・デルモが、
司令に代わって藍華の乳房に取り付く。
両の乳房を同時に襲う快楽に、藍華の喘ぎ声が一層昂ぶっていく。
ニナが乳嘴を口に含み、舌で転がす。
ソバージュは乳嘴を唇で挟み、ちゅっ、ちゅっと吸い上げている。
いつの間にか藍華の両手は縛めを解かれているが、
その指は耳を責め続ける二人のホワイト・デルモの指に絡めら取られ、
優しく押さえつけられて、振りほどくことができない。
そっと静かに、上着やブラウスを奪われて行く。

遂に司令の指先が、下着越しに藍華の秘裂に触れる。
「!…ああッ!!」
藍華が火のような悲鳴を上げる。
司令の指が微かに震えながら淫らなクレバスを上下していく。
激しく腰を揺さぶり、振りほどこうとする藍華。
しかし、そんなはかない抵抗も、耳や胸へ加えられる責めに、
たちまち嫋嫋たる啜り泣きに変わってしまう。
「ゆ、許して…そ、それだけは…あ、ああん…あ、あはあ…」
「まあ、もうぐっしょりと濡らしていますよ、ミス藍華。」
司令が咎めるような表情で藍華の顔を覗き込む。
「嫌ッ……!」
司令の視線を受け、首筋まで真っ赤に火照らせた藍華が顔を背ける。
その耳にホワイト達が囁き続ける。
「本当に淫乱なのね、ミス藍華。」
「ずいぶんと経験豊富なのじゃないかしら、ミス藍華?」
「何人の男を手玉に取ってきたのですか、ミス藍華?」
「ち、違う……あふっ……だ、駄目ッ、そこはッ……あああんッ!」
いつの間にか司令の指がサイドからパンティの中に侵入し、
直接そこに触れている。藍華が大きく仰け反る。
喘ぎに大きく開かれた藍華の唇を、副官の唇がぴったりと塞ぐ。
「ううっ!?…むっ…むうっ…むむうっ…!」
突然の唇への攻撃に、藍華は動転する。副官の舌が侵入してくる。
必死に歯を合わせ、口腔を守ろうとする藍華。
副官は唇をすり合わせ、舌で歯茎をなぞり、ゆっくりと許可を求め続ける。
その時、藍華の両脚は司令によって縛めを解かれ、
パンティを降ろされようとしていた。それに気付いた藍華が思わず悲鳴を上げる。
その瞬間、すかさず副官の舌が藍華の口腔内に滑り込んでいく。
「う、うむうっ?…むううんっ…くふっ…んんんっ…!」
藍華の舌が副官に絡め取られる。
同時に両耳にもホワイト・デルモ達の舌の侵入を感じる。
両の乳嘴も熱い唇に含まれ、吸い取られ続けている。
女たちの巧緻極まる舌先の責めにより、藍華の抵抗がみるみる弱くなっていく。
まるで夢の中にいるようなふわふわした感覚とは裏腹に昂ぶっていく官能の興奮の中、
いつのまにか藍華は司令によって静かにパンティが取られ、
スカートも下ろされる。完全に全身をくまなく曝してしまう藍華。

「はああっ…も、もう許して…むうっ……んんっ……」
何度許しを乞うたことだろう。
ホワイト・デルモ達は容赦なく優しく残忍な責めを続けていく。
副官が唾液を藍華の口腔に注ぎ込んでいく。
遂に藍華の喉が愛らしくこくんと動き、それを奥深くに受け入れていく。
それを確認した副官は密かに満足の笑みを浮かべ、
さらに大量の唾液を藍華に甘受させていく。
「はあああッ…!」
突如、司令の唇が藍華の秘裂にぴたりと合わされる。
その衝撃に、藍華の身体が弓なりに大きく仰け反る。
最後まで残っていた二人のホワイト・デルモが藍華の両脚を絡め取り、
白磁のような太ももや細くしなやかなふくらはぎに口付けの雨を降らせ、
はかない抵抗を無力化する。
ようやく副官の唇を逃れた藍華が、叫ぶように喘ぐ。
「だ、駄目ッ…そ、それだけは許してッ…あ、あああんッ…お、お願いッ…
はああッ……!」
その部分を嬲る司令の舌。
襞の一つ一つをなぞるように動き、奥深くまで差し込まれる。
そして唇が藍華の恥じらいの蕾を挟み、吸い上げる。
藍華の身体が、何度も何度も弾けるように仰け反る。
女たちは藍華を徹底的に羞恥責めに追い込んでいく。
藍華は司令に最も恥ずかしい部分を責められる一方で、
両の腋をもねぶられてしまう。
また、両足の指を一本一本口に含まれ、歯と舌でたっぷりとしゃぶられてしまう。
そして両耳から押し寄せる甘く熱い言葉責めの嵐。
「まあ、こんなにいやらしい声をあげちゃって。本当にスケベなのね、ミス藍華。」
「こんなに頬を上気させてしまって。
ミス藍華はエッチなことは何でも好きなんですね。」
違う、と否定の声を上げようとする藍華だが、
その可憐な唇からはもはや喘ぎ声しかこぼれない。
司令の両手の指が秘苑を押し広げる。舌がさらに深くに侵入していく。
「はあッ…だ、駄目ッ…か、堪忍ッ…もう、もうッ…!」
一瞬、ホワイト・デルモ達が一斉にアイコンタクトする。
完璧にシンクロした責めを一層激しくしながら、
藍華を官能の頂点に押し上げていく。
「ああッ…行くッ…行っちゃうッ…いやッ…はあんッ…だ、駄目ッ…
行っちゃうッ…行っちゃうのッ……あッ、はああああああッ!!」
藍華の身体が激しく仰け反り、硬直する。官能の極限。藍華の全身が震える。
やがて、ぐったりとベットに沈み込む藍華の裸身。
首筋まで上気させ、一心に荒い呼吸を続ける。

「とうとう気をやったわね、藍華。うふふっ。」
「可愛いい人。イキ顔はとても綺麗だったわよ、藍華。」
「どう、心も身体も官能に堕ちてしまった感想は?」
「同性に責められこんなになるなんて。藍華の身体は本当にいやらしいわね。」
口々に囁かれる揶揄に、反論することもできず、力なく横たわる藍華。
恥辱の涙が一筋頬をこぼれる。

「まあ皆さん。藍華をそんなに苛めてはいけないわ。
ハーゲン様の母君となられる方なのですからね。」
「それでは司令は、ハーゲン様の父君?やだあっ」
哄笑が藍華を押し包む。衆人環視の中で絶頂を極めさせられ、
プライドも羞恥心もずたずたに引き裂かれた藍華は、無抵抗のまま、
ゆっくりと司令によって脚を開かされていく。
「それでは、計画の次の段階に入ります。
では藍華……ハーゲン様を迎え入れるのです。」
「……?……あ……い、いやあっ……」
司令の身体が藍華の両脚の狭間に入り込み、
オルタネート・メタルの巨根が藍華の秘裂に接近していく。
藍華はそれに気付きながらも、深い官能の余韻に浸ったまま満足に抵抗できない。
藍華の両脚が折りたたまれ、高い膝の間に司令の腰が沈んでいく。
「さあ、入りますよ。藍華。」
司令の猛りが藍華のその部分に押し当てられる。息を呑む藍華。
次の瞬間、灼熱の欲棒が一気に藍華の胎内に押し入っていく。
「ふあッ…あああああッ…ああんッ…だ、駄目ッ…あはああッ…!」
再び官能の波に捉えられ、藍華が歯を食いしばって呻く。身体を仰け反らせる。
「うふふっ…入ったわよ、藍華。ハーゲン様が、全部。」
オルタネート・メタルからフィードバックさせる快感に
飲み込まれそうになるのを必死に抑えながら、司令が藍華の肩を抱き、囁きかける。
びくっと震える藍華の頬を愛しげになで、唇を奪う。
そうしながら、司令の腰は別の生き物のように淫らに動き、
激しい前後のピストン運動に加え、前後左右にひねりまで加えて自由自在に蠢き、
藍華を翻弄していく。
「むううッ…あふッ…むうんんッ…くふッ…!」
唇を奪われた藍華が、苦しげに喘ぐ。舌が吸われる。司令のそれに絡み付かれる。

藍華の鼻息が、はしたないほど荒々しくなる。
司令の指先で静かに藍華の髪留めが外され、
金髪が美しく長く、乱れ広がっていく。
漸く唇を解放した司令が、乳房をぴったりとあわせ、
乳首をこすり合わせながら、藍華に囁きかける。
「んふッ…先ほど説明した…と、とおり…
当初、ハーゲン様の…ぼ、母体としては…わ、私が予定されていたのですが…
んあッ…」
藍華の秘苑の予想以上の甘やかな収縮と強い締め付けで、
司令も甘い喘ぎ声を放つ。周りで見つめるホワイト・デルモ達。
副官の瞳に嫉妬の炎が燃える。が、不意に記憶を甦らせる。
<ミス藍華にハーゲン様を受胎させるのは私の役目ですが、
うまくできるかどうか自信がありません。
あなたは、私の練習につきあってくれますか?
もちろん精液は装填しませんが……>
司令に選ばれた嬉しさ、誇らしさ。
そして、昨日まで繰り返されてきた甘美な二人だけの夜。
唇を噛み締める副官が、ふと視線を感じて顔を上げると、
司令の視線とぶつかえう。一瞬二人の想いが交錯する。
<司令。司令は私の…私だけのものです…!>
<わかっています。今は辛抱してちょうだい。明日からはまた、二人だけで……>
想いが通じたのを知り、副官の表情が緩む。ほころぶ口元。
ニナが不思議そうに見つめる。

「あッ…そ、想定外の因子が…しょッ、生じました……そ、それがッ…くふッ…
皇藍華、あ、あなたなのですッ…あふッ…」
ズリュッ…クチュッ…ズチュッ…ヌプッ…ズ、ズウンッ…!
「ああッ…んあッ…あはあッ…ゆ、許してッ…あああんッ…はああんッ」
「くッ、黒デルモが束になっても、か、敵わない身体能力……
おッ、オルタメとの完璧に近い適合性……そ、それらはッ…ハーゲン様も……
ほッ、欲するはずの…のッ、能力なのッ…ですッ…はああッ…!」
ズンッ…グジュッ…グリュッ…ズジュッ…!
「も、もうッ…あふうッ…だ、だめッ…あああッ…ま、また行っちゃうッ…
行っちゃううッ…!」
「ゆ、故に…憎き仇敵の…あッ、あなたですが…特別に…
はッ、ハーゲン様の…子種をッ…やッ、宿すことで…
その罪をッ…ちょッ、帳消しに、するものですッ…あんんッ…!」
司令の声が切羽詰る。もはや激しい喘ぎ声にしかならないところまで来ていた。
後を副官が引き取る。
「藍華……あなたはハーゲン様の頭脳、知識、性格を受け継ぎ、
あなたの身体能力とオルタメとの適合性を継承した
新たなハーゲン様の母となるのです。光栄に思いなさい。
なお、あなたの排卵周期も計算済みですから、
今日あなたは必ず受胎するはずです。」
だが、もはや藍華の耳にその声は届いていなかった。
燃え盛る官能の炎に焼き尽くされえる藍華の五感。
「…!やッ…ね、ねえッ…ああッ…行っちゃうッ…ま、また行っちゃうのッ…!」
「くッ…いいのよ…行きなさいッ、藍華…わ、私も…あふッ…
いッ、一緒に…行きますからッ…!」
オルタネート・メタルの肉棒が一層膨らむ。
間近に迫った射精に気付き、藍華が悲鳴を上げる。
「だ、駄目ッ…中はッ…中だけは許してッ…ああんッ…嫌ッ…駄目よッ…
あああんッ…いいッ…だめッ…いいいッ!」
「い、行くわッ、藍華ッ…ああッ…藍華ッ!…藍華ッ!…行くのッ…!」
「い、いやああああッ……だめええええッ……!」
司令の腰が大きく引かれ、次の瞬間、深々と藍華を貫き通す。
清らかな子宮にまで侵入した先端部が大きく震え、次の瞬間、夥しい精液が放出される。
その瞬間、藍華も二度目の絶頂を迎える。膣が収縮を繰り返し、
その美しい主の意志とは裏腹に一滴残らず精液を搾りつくそうとする。
「!!…あああああああッ……!!」
腰を高く上げ、司令の巨根をより深く迎え入れる藍華。
やがて、藍華の全身から力が抜け、がっくりとベットに沈み込む。
同時に司令も力尽き、藍華の上に倒れこむ。藍華を抱き締め、うなじに口付ける。

「…受胎確認。」
「…麻酔準備。」
「…準備完了。」
予想もしなかった凌辱に身も心も打ちのめされ、放心状態の藍華の耳に、
ホワイト・デルモ達の冷静で事務的な声がぼんやりと聞こえてくる。
「藍華……いえ、ミス藍華。あなたにハーゲン様を安全に育んでいただくため、
しばらくの間眠っていただきます。
もちろん健康管理は十分気をつけますからご心配なく。
次に目覚めたとき、あなたは産褥にいることでしょう。」
「……え……な…何?…何を…言っているの…?」
事態を把握できない藍華が寝言のように呟く。
「いいのです、ミス藍華。良い夢を。」
藍華の細く白い腕に、麻酔の点滴が差し込まれる。意識が次第に消えていく藍華。
最後に藍華は妹分のパートナーのことを思い出す。
「り、りおん…ごめんなさい…わ、わたし…もう…帰れない…」
意識を失い、がっくりと力なく横たえられる藍華の顔。
司令はそっと藍華の顔を柔かい枕の中央に乗せ直し、静かに口付ける。
そして立ち上がり、差し出されたマイクを掴み周囲を囲むホワイト達のみならず、
基地内の全てのデルモ達に宣言する。
「ハーゲン様は再びこの世に生まれて来られる。
今後、ミス藍華改めマム藍華の母体保護を組織の最優先とします。
ハーゲン様復活の日まで、決して気を抜かないように。いいですね。」
「はッ!」
歓声が遠くから聞こえてくる。明確な目標が生まれたことで、
意気上がるデルモゲニティ。組織が以前の活気を取り戻していく。
「もうすぐですよ……ハーゲン様。
あなたと私……そして藍華の遺伝子を合わせた、
新たな素晴らしい生命が誕生します……。」
司令の小さな呟き。その秘密を知るのは副官ただ一人。
唯一その呟くを聞く位置にいた藍華。
だがその意識は、長い長いまどろみの中に、深く深く沈みこんでいた。

(了)





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